コーヒーを淹れるとき、最初に”蒸らす”という工程があります。
もはや当たり前のように取り入れていると思います。
なぜかは知らないけれど…
そう…
なぜかは知らないけれど、当たり前のように蒸らしをしています。
実はこの蒸らし工程の時間は10秒違うだけで、コーヒーの味が変化します。
いつも同じに淹れているつもりなのに味がいつも違っているのは、これが理由かもしれません。
これは蒸らしについて知っておかなければいけませんね。
今回はコーヒー抽出時の”蒸らし”について記録します。
そもそも、”蒸らし”ってなに?なんでやるの?
”蒸らし”とは…
コーヒーを抽出するとき、コーヒー粉全体に行き渡る程度の少量のお湯を注ぎ、40秒程度静置する操作のこと。
では、なぜ蒸らし操作をするのか?
ざっくり言えば、抽出する準備のような操作で、この蒸らしをするとコーヒー成分の抽出効率が上昇します。(「それはそうだろう。」って聞こえてくるようです。)
焙煎したコーヒー豆は内部に炭酸ガスを含んでいます。
(ちなみにこの炭酸ガスは2~3週間かけて徐々に抜けていきます。)
コーヒーの成分はコーヒー粉とお湯が接触することで抽出されますが、この炭酸ガスを含んだ状態だとコーヒー粉とお湯の接触面積がが小さくなるため、効率的に抽出することができません。
抽出効率を上げるためにこの炭酸ガスを除く必要があるわけですが、これを解決するのが”蒸らし”ということになります。
お湯によって温められた炭酸ガスは膨張し、浮力によって脱気されます。
コーヒー粉が蒸らし中に膨らむのは炭酸ガスが抜けているためということです。
つまり、この蒸らしは味に影響するとても大切な工程であるということです。
蒸らし時間と味の関係
蒸らしがとても大切な工程であるということは分かりましたが、どれくらいの時間を蒸らせばいいのか?
蒸らし時間は30~40秒付近でしょうか?
冒頭にも書きましたが、蒸らし時間は10秒違うだけで味が変化します。
各人の好みやその時の気分で変化させると良いのかと思います。
つまり、厳密にこの時間が正解という時間はありません。
味の傾向としては、蒸らし時間は短いほど「酸味」優位の味で全体的に軽めの仕上がりになり、長いほど「苦味」優位の味で全体的に重い仕上がりになります。
蒸らしをするもう一つの理由がこれです。
「酸味」成分は比較的お湯に溶けやすいため、蒸らす時間が短くても容易にお湯に溶け出します。
対して、「苦味」をはじめとする他の成分は比較的お湯に溶けにくいため、溶かすには蒸らす時間を長くする必要があるということです。
具体的には、個人的な好みによるものですが、あまり短すぎても薄くなりすぎてしまうので、短くても20秒くらい、逆に長すぎると「渋味」や「雑味」も同時に増してしまうので、長くても50秒くらいがいいのではないかと思います。
そして、30~40秒くらいが豆の「酸味」と「苦味」をバランスよく引き出せるのではと思っています。
最後に…
今回は蒸らしについて記録しました。
コーヒーの味は「酸味」と「苦味」のバランスで決まると思っています。
このバランスによって「甘味」が引き出されたり、コーヒーの産地や品種の個性的な風味が活きてきたりもします。
「酸味」や「苦味」のバランスは焙煎度が最も大きく影響しており、個性的な「風味」は産地や品種が大きく影響しています。
この焙煎度による「酸味」や「苦味」のバランスや、産地や品種による個性的な「風味」をどのように活かして好みの味に仕上げるのかは抽出時のパラメータや操作で変化します。
そのパラメータの一つが蒸らし時間ということです。
つまり、蒸らし時間一つで味が変化するのです。
この蒸らし時間が変わるだけで味が変わってしまうなんて、コーヒーは難しいですね。
しかし言い換えれば、このことを覚えておけば再現良く好みのコーヒーを飲むことができたり、気分によって変化させることだってできるわけです。
好みのコーヒーを見つけるお手伝いが出来たら幸いです。
では、また…
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